ウェーサーカ祭にちなんで、日本テーラワーダ仏教協会の機関誌パティパダー(2014年5月号)に掲載されたスマナサーラ長老によるご法話の冒頭部分をご紹介します。

ウェーサーカとは花まつり

花はこころを真理に目覚めさせる Beauty reveals evanescence.
アルボムッレ・スマナサーラ長老

成功することが楽しい

五月はウェーサーカ祭の月になります。ウェーサーカ祭とは釈尊祝祭日です。お祭り好きな仏教徒にとっては最高にありがたいお祭りになります。仏暦は五月の満月から始まります。ウェーサーカとは、その月の名前です。人間が何かの目的をめざして努力して、その目的に達したら、たいへんな喜びと充実感をかんじるのです。感激するのです。努力が実ることが、人間にとっては喜びなのです。努力しても結果が無く失敗したら、悲しみに陥るのです。ひとは努力するならば、結果が現れるまであきらめず精進するべきです。これはお釈迦様の言葉です。

最高の成功を祝いましょう

輪廻転生する生命にとって最高の目的といえば、輪廻転生を脱出して解脱に達することになります。他のすべての目的の価値は、これ以下です。結果も一時的です。この世で最初に最高の目的に達したのはお釈迦様です。それからその方法をお釈迦様が我々に説かれたのです。ですから、お釈迦様の成道はすべての人間にとって最大の出来事になります。お釈迦様の教えを実践しない・信頼しない人々が関係ないと思われるのは当然のことですが、仏教徒にとっては、お釈迦様の成道より優れた聖なる出来事はありません。ウェーサーカ祭は基本的に、成道を祝う法要なのです。俗世間的な祭りをするよりも、その記念日に皆、修行しようと励むのです。それに加えて、お釈迦様の降誕も同じ日に祝うのです。それがお釈迦様にとって輪廻転生の最後の生まれだからです。この生まれで、無限の輪廻を終了するのです。ゴール・目的に達するのです。覚りをひらくという出来事が最高のゴールに達することであるならば、最後の挑戦に必要なすべての資格を揃えて菩薩として人間界に生まれることは、当然、最大の出来事です。覚りをひらいてから肉体の寿命が終わるまで、皆に真理を語りながら遊行の生活をなさったのです。八〇歳になったところで、お釈迦様のお身体の機能は停止したのです。偉大なるお釈迦様の場合は、亡くなったとは言わないのです。般涅槃されたと言うのです。死という言葉は輪廻転生する一般の生命に使う単語です。ですからお釈迦様が亡くなられたことも、最終的なゴールなのです。というわけで、南伝仏教ではウェーサーカ祭に降誕と成道と般涅槃という最大の出来事三つをまとめて祝うのです。仏教徒にとっては新年なので、皆に新年の挨拶もするのです。仏暦二五五八年になりました。お釈迦様の無量の慈しみの祝福が皆様にありますようにと誓願いたします。仏法僧に護られているという確信があれば、いかなる悩みも乗り越えて平安に過ごすことができるのです。

このご法話の続きは、日本テーラワーダ仏教協会のホームページでお読みいただけます。感情によって走り回る我々生命の心と、欲や怒りを落とした無執着の境地について語られています。ぜひ、以下のリンクからお読みください。